東京体育学会
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「コロナ禍のなかの東京体育学会」

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東京体育学会

会長  船渡 和男

    (国士舘大学)

 

 20203月より顕著となった新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、東京体育学会では第11回大会(202038日を予定)を中止とし、すでに発表が決定していた一般発表演題を著者の意思決定のもとで、東京体育学研究への誌上発表とさせていただきました。また多くの会員の皆様には、国際学会である「2020横浜スポーツ学術会議」(20209812日、web開催)の立案にご尽力していただいたり、シンポジウムや一般発表の発表などに積極的に協力していただき感謝申し上げます。また第97回研究会(「大学スポーツの未来―UNIVASを考える」2020125日)と第12回学会大会(「若手研究者に期待する今後のスポーツ科学研究」202137日)でもオンライン形式による遠隔での開催を余儀なくされましたが、参加者はそれぞれ150名にのぼり、学会員の本学会に対する関心の高さを感じました。

 コロナ禍により、スポーツ・体育・健康つくり現場では、スポーツの楽しさ、仲間と協力して行うこと、競技力向上など目標に向かって努力すること、体力や健康の維持向上などのスポーツをする権利が奪われています。これらに対して我々学会員の何をすべきなのかを考えさせられます。体育科教育、スポーツに関する人文社会科学や医・科学そして応用健康科学の見地からエビデンスを作り上げ、学校、スポーツ団体あるいは各自治体と相談しながら、スポーツをする権利を復活するために独自の判断基準を作って社会実装していくことではないでしょうか。このような時こそ、各大学や研究機関で得られた教育・研究成果を社会に還元し、社会と困難さを共有し、スポーツ科学のESG(Environment, Social, Governance)投資を考えて、コロナ禍やニューノーマル時代に対応しなくてはならないことを強く感じています。

  令和3年となる2021度から「東京体育学会」は、独立学会として13年目に入ります。前任期から続投で会長として船渡和男が、理事長として田中重陽氏がそれぞれ再選されました。また今年度から若手理事に刷新して各事業の責任者となっていただきました。引き続き独立学会の利点として、他の体育・スポーツ学術団体との連携と、若手研究者の育成を継続いたします。平成3年度から本学会員の若手研究者への「若手研究助成」をスタートさせていただきました。来るべきコロナ収束とニューノーマル時代に備えて、個々の研究が専門化および多様化する中で、統合的かつ俯瞰的視野から「東京体育学会」のアイデンティティーは何かを再確認していきたいと考えています。引き続きスポーツ科学・体育科教育・健康スポーツ科学研究の意義と社会貢献、という観点から独立学術学会として質の向上を図っていきたいと考えています。

東京体育学会には現在約1300名の会員が在籍しています。本学会をより活性化するためには、魅力ある学術組織でなければなりません。そのためには、学会大会での一般発表や「東京体育学研究」の投稿を質・量ともに充実させていく必要があることを感じています。特に大学院生を中心とした若手研究者の積極的な学会への参加や論文投稿を期待します。同時に、東京地域勤務や在住以外の会員への参加も積極的に促していきたいと考えています。有意義かつ有用な学会となるために、多くの会員の皆様の積極的な参加、常任理事、理事各位および事務局の協力を切にお願いいたします。