東京体育学会
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第67回研究会 疲労を再考する

平成15年度第二回研究会
疲労を再考する

シンポジスト

征矢 義昭(筑波大学) 疲労困憊時の脳内セロトニン

神崎 素樹(東京大学) Ia群線維活動からみた筋疲労

八田 秀雄(東京大学) 本当に乳酸が疲労の原因なのだろうか

川原 貴(国立スポーツ科学センター)  オーバートレーニング症候群

羽生 綾子(ピッツバーグ大学大学院)  現場から見る疲労

司会

川上 泰雄(早稲田大学)

平成15年度 第2回研究会を終えて

平成15年11月22日、午後1時半より4時過ぎまで、日本体育学会東京支部の今年度2回目の研究 会が東京大学本郷キャンパスにおいて開催されました。

テーマは「疲労を再考する」でした。研究担 当理事として、今回はテーマの立案および演者の選定にあたらせていただきました。  
演者は、筑波大学の征矢英昭氏、東京大学の神崎素樹氏、八田秀雄氏、国立スポーツ科学センター の川原貴氏、ピッツバーグ大学の羽生綾子氏の5名でした。

各演者のテーマは表に掲げた通りです。 傍聴記を東京都立短期大学の池川繁樹氏にお願いしましたので、詳細はそちらに譲り、ここではシン ポジウム企画の経緯と、司会者からみたシンポジウムの進行、そして、シンポジウムの感想を簡単にまとめます。
第1回研究会は大変面白いシンポジウムであったにもかかわらず参加者はそ れほど多くなかったため、今回もあまり集まらないのではないか、と心配していました。しかし、予想を大幅に超える参加者が集まり、慌てて椅子を追加するなど、嬉しい誤算となりました。
「疲労」という身近なテーマのためでしょうか。しかしこの「疲労」という概念はひろく一般に知られているにもかかわらず、その定義は様々です。「疲労」ということばで思い浮かぶものも人によって千差万別でしょう。

「疲労」が指 すものはその人の視点によって変わるといえます。そんなあいまいな「疲労」について、あえて様々な視点からの意見をぶつけ合いながら考えてみようというのが本シンポジウムの意図でした。

シンポジストの選択にあたっては私の視点が入り込むことになりますが、できるだけ幅広い分野の方にお願 いしようと考えました。脳や精神面の疲労の立場から征矢先生(写真1)、いわゆる末梢疲労の立場から神崎先 生(写真2 )、全身の代謝の観点から八田先生(写真3 )、身体全体のシステムの変調という観点から川原先生(写真4 ) 、そして疲労からの回復方法の観点から羽生先生(写真5)、という感じでお願いをした次第です。

5名の演者の方々のお話は多岐に渡りましたが、私なりに、以下のようなまとめ方ができるのではないかと思いました。
最体はその機能(コンディション;力強さ、ねばり強さ、やる気、けがのない状態など)が損なわれないように様々な防御機構をもっている。防御機構はその維持のためにある程度のストレス(身体・精神の複合作用;緊張状態)を必要とする。
ストレスが少なくても、多すぎてもコンディショ ンの失調が生じる。

それが疲労である。適度なストレスを保つことは、身体機能の統合につながる。 「適度な運動をする」「無理な運動をしない」だけではだめで、身体から外部の環境まで、バランスよくしていくことが必要である。

漠然とした定義かもしれませんが、このあたりに疲労に関する演者の方々の見解を収束させることができるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。皆様のご意見を賜ることができれば幸いです。

最後になりましたが、今回のシンポジウムにあたり、急なお願いを快諾していただいた演者の方々、 長時間にわたり議論に加わっていただいた参加者の方々に感謝いたします。東京支部の理事長の深代 先生(写真6)をはじめとする理事の方々、そして事務局の北田さんには大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。