日時: 平成20 年10月29日(水)18:00~19:00
場所:国立スポーツ科学センター 4F 特別会議室
国内、さらに世界レベルで活躍するエリートアスリートは、遺伝的に有する潜在能力(身体的資質)と環境要因とがパフォーマンスの向上に最良の影響を及ぼした非常に稀な成功例といえる。もちろんトレーニングや栄養そしてコーチングといった環境因子は、エリートアスリートの育成には必要不可欠である。
しかし、これらの要因だけでは説明できない可能性があることもまた否定できない。このため現時点では、運動能力は無数の環境・遺伝要因によって決定される生理的現象であり、個人が元来有する身体能力や競技力は遺伝的要因にも強く左右されると考えられている。
本講演では、こうした考え方をもとに近年急速に進歩している遺伝子解析技術を用いて探索されたヒトの身体能力に関わる遺伝子群、中でも種々のスポーツ種目において特に重要となる持久系、筋力系に関わる遺伝子多型について概説する。その後国立スポーツ科学センターにおける遺伝子多型探索の現状と今後の展望について言及する。